2016.9.28リリース
株式会社やさしい手(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:香取幹、以下「やさしい手」)は、訪問介護サービスにおける訪問介護員による介護観察に関するアンケートを実施した。
これまで身体介護サービス及び生活援助サービスにおいて「介護過程」業務が存在しており、介護の専門性であるという定義はなされているものの、具体的な根拠を示せずにいた。
本調査においては、タイムスタディによる看護業務プロセスの可視化において論じられているケアや処置等の直接看護業務以外にあたる看護観察業務同様に、介護においても、介護観察業務が存在するのではないかという仮説に基づいてインターネットリサーチによる調査を実施したものである。
結果として訪問介護員は、身体介護サービスであっても、生活援助サービスであってもほぼ同じ割合で直接的な介護行為と平行して観察、判断、意思決定に関わる業務を実施していることが分かった。
本結果から考えられる考察として介護サービスについてもこのようなタイムスタディを深めていくことで、より介護の専門性の定義が明確になるとともに、生活援助給付のあり方についても議論をより深めることが出来るものと考えられる。
またこのような調査を進めていくことによって介護業務の効率化やIT・ICTを活用した効率化など幅広い場面において活用できるのではないかと考えられる。
引用文献:「タイムスタディによる看護業務プロセスの可視化」において、清水、大野、岩佐、尾島、林、冨澤、大西、本杉、岡田によって論じられている、看護業務のプロセス可視化に関するタイムスタディによる測定結果を用いた研究の多くは全看護業務を対象とし、清潔ケア、食事ケア、排泄ケアといったケア単位での業務量を検討するのみにとどまっている。実測作業測定法であるタイムスタディを行い、明示化されたプロセスと時間情報により業務プロセス可視化手法の可能性について論じている。
以下の3点を仮説とし、調査を行った。
(1)物理的な行為をタイムスタディで計測するだけでは、介護行為の機能を測定することができないのではないか。行為と同時並行的におこなわれている介護過程(介護観察)の測定により、介護の機能が測定できるのではないか。
(2)自立支援の観点から、自立を促進する動機付けや相談機能が存在する。軽度者の自立支援にあっては、介護過程(介護観察)が最も重要な要素になるのではないか。
(3)現在、軽度者の支援のあり方については、洗濯、調理、掃除の機能が中心に議論されているが、軽度者の支援のあり方の議論をする上では、介護過程(介護観察)に機能を詳細に調査しなければならないのではないか。
■ 調査タイトル
訪問介護サービスにおける訪問介護員による介護観察に関するアンケート
■ 実施機関
株式会社マクロミル
■ 調査方法
インターネットによるメール配信【マクロミルモニタ会員】
■ 実施期間
平成28年8月31日(水)~平成28年9月2日(金)
■ 対象
訪問介護員・介護福祉士 412名 (男性136名 女性276名)
■ 分析対象数
訪問介護サービスの経験がある186名
訪問介護のサービス(身体介護・身体生活・生活援助)を提供した際に、介護行為と並行して実施している観察・判断について、どのくらいの時間をかけているか。
<観察・判断の詳細項目>
・疾患を踏まえた病状の変化
・水分摂取量
・栄養状況の確認
・運動機能に関する観察
・顔色等の変化
・服薬の状況
・食材冷蔵庫等の確認
・洗濯物から排泄状況の確認
・段差や物品の配置、転倒リスクへの考慮
・睡眠状況の確認
・会話からどのようなサービスをご希望されているか
・事業者や訪問介護員への意見
・サービス提供責任者への連絡の必要性検討
・医療機関との連携の必要性検討
・ケアマネジャーとの連携必要性検討
・その他
(1)訪問介護員が生活援助を行う際に、「一連の直接的な介護行為」と並行して、介護観察(介護過程)に多くの時間を投じていることが明らかになった。
(2)介護観察(介護過程)にかける時間に、「身体介護サービス」と「生活援助中心型サービス」に大きな差異がないことが明らかになった。
(3)サービス提供時間の4割以上の時間を要して「一連の直接的な介護行為」と並行して、実施されているとの回答を得た介護観察(介護過程)は下記の通りである。
ⅰ)「疾患を踏まえた病状の変化」
「身体介護サービス」提供時:73.6%
「身体生活サービス」提供時:72.2%
「生活援助サービス」提供時:62.0%
2016.3.23リリース
株式会社やさしい手(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:香取幹、以下「やさしい手」)は、生活援助サービスの「介護過程」に関するアンケートを実施した。
「軽度者に対する生活援助サービス」に関して、経済・財政諮問会議(平成27年12月24日)で示された「経済・財政再生計画改革工程表」の中で、公的保険給付の範囲や内容について給付の見直しや地域支援事業への移行を含めて検討するとされた。本件に関する議論は、平成28年2月17日から議論がスタートした社会保障審議会介護保険部会において議論がされるものとされている。
このような状況を受け、やさしい手では、介護保険サービスとして実施がされている「生活援助」の「介護過程」に着目をしたアンケートを実施した。アンケートの概要・結果とその考察は下記の通りである。
アンケート回答者、103名の属性は、男性が54名・女性が49名、居住地域は、全国の分布し、関東地方28名・近畿地方20名などの分布であった。職業は、約半数が会社員(その他)であった。
【質問項目の選択肢と選択方法について】
13個の調査項目設定し、各項目に選択肢を11個設定し、設問ごとに「強く意識をしている項目の上位5つ」「あてはまるものをすべて」「あてはまるものを1つ」等の条件を指定し、回答する形をとった。
(1)訪問介護員が実施する軽度要介護者に対する生活援助サービスがもたらす情報による専門職間の連携
訪問介護員が専門性に基づく観察・判断・情報収集により得た情報は、サービス提供責任者・介護支援専門員・看護師・医師の連携に欠かすことのできない情報源である。
つまり、訪問介護員がもたらす「情報」は、「訪問介護計画」「居宅介護支援計画」「訪問看護計画」「診療計画」のPDCAサイクルをまわす手助けとなり、各計画の精度を高める効果があるのではなか。
(2)「10分未満直接的な生活援助」と「介護過程」を組み合わせたサービスの活用方法イメージ
1日1回「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせのサービスを位置づけたプランが想定されている。
「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせで1回あたりの単価を低減させながら、利用者と介護職員が「対話」に基づいて在宅生活継続を維持することができると考える。
退院直後や不安が強いときは 「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせの回数を確保しつつ、自立度が向上されるとともに、サービス提供回数を減少させていくことができるのではないか。
軽度者(要介護度1、2)の方においては生活援助中心型サービスが提供出来ないようになることを想像させるような報道等がなされております。
しかし、これまで生活援助は、軽度要介護者【要介護度1、2】(以下軽度要介護者)の方々の在宅生活継続をささえており、
すべてが給付されなくなると軽度者の生活が支えられなくなると心配されています。
軽度要介護者の在宅生活の継続のためには、
最低限どのような生活援助中心型サービスが必要であるか。
弊社では、全国の介護職員、ケアマネジャー約100名へアンケートを実施し、軽度要介護者への生活援助中心型サービスのあり方について考察しました。
2016.2.23リリース
1 .調査目的
2 .調査項目
3 .調査結果
4 .アンケート結果のまとめ
5 .参考資料
< 目的 >
軽度者(要介護度1、2)の方においては生活援助中心型サービスが提供出来ないようになることを想像させるような報道等がなされております。 しかし、これまで生活援助は、軽度要介護者【要介護度1、2】(以下軽度要介護者)の方々の在宅生活継続をささえており、すべてが給付されなくなると軽度者の生活が支えられなくなると心配されています。 軽度要介護者の在宅生活の継続のためには、最低限どのような生活援助中心型サービスが必要であるかを調査、検討します。
< アンケート概要 >
対象:介護職員、ケアマネジャー【マクロミルモニタ会員(2014年7月時点)】
分析対象数:103名
実施日:2016年2月5日~ 2016年2月6日 24時間実施
実施方法:インターネットによるメール配信(ネットリサーチ業者:株式会社マクロミル)
Ⅰ .在宅生活を継続するためにはどのような生活援助中心型サービスがあると良いと思いますか
Ⅱ .どのようなタイミングで利用できると良いとおもいますか
Ⅲ .上記タイミングにおける適用期間についてはどのくらいの期間が妥当性が高いと思われますか
Ⅳ .どのような頻度で上記期間生活援助サービスが必要だと考えますか
Ⅴ .短時間の生活援助においてどのような役割、効果を期待しますか
Ⅵ .身体介護に引き続いて行う生活援助サービス(身体介護1生活援助1など)についてはどのようにお考えになりますか
軽度要介護者の在宅生活継続のためには、独居高齢者・退院直後に短時間の生活援助が必要である。
在宅生活を継続するためにはどのような生活援助中心型サービスがあると良いと思いますかについては、「独居高齢者などは使えるなどの措置をする」(69.9%)・「退院直後など期間限定の生活援助サービスを導入する」(55.3%)が多くの回答を得た。短時間生活援助の導入に関しても半数を超える方が必要である回答した。
軽度要介護者に生活援助中心型サービスが必要なタイミングは、退院直後・独居になった直後である。
生活援助中心型サービスをどのようなタイミングで利用できると良いと思いますかについては、サービス担当者会議にて必要性が認められたとき(68.0%)、退院直後(62.1%)、独居になったとき(53.4%)の3項目が50%を超える回答となった。この結果は、軽度要介護者に生活援助中心型サービスが必要なタイミングは、退院直後や独居になった直後でサービス担当者会議にて必要性が認められたときであるという結果となった。
軽度要介護者が生活援助中心型サービスが必要な期間は、2週間から1ヶ月間である。
生活援助中心型サービス提供のタイミングにおける適用期間については、どのくらいの期間が妥当性が高いと思われますかについては、1か月程度以内との回答が多くなっている。
特に、問2にて、必要なタイミングとされた「退院直後」「独居になった直後」が特にこの傾向が顕著である。
軽度要介護者適用期間中の生活援助中心型サービスは、1日複数回の提供が必要である。
どのような頻度で上記期間生活援助サービスが必要だと考えますかについては、1日1回以上との回答が各項目において50%以上を占めている。
軽度要介護者への生活援助では買い物・調理の役割・効果が期待されている。
短時間の生活援助においてどのような役割、効果を期待しますかについては、「買い物」が79.6%、「調理」が69.9%と高い割合を占めている。
軽度要介護者身体介護に引き続いて行う生活援助も一定条件で利用できるようにすべき。
身体介護に引き続いて行う生活援助サービス(身体介護1・生活援助1など)についてはどのようにお考えになりますかについては、「一定の条件を加味して利用できるようにするのが良い」は52.4%となっている。「今まで通り利用できるものとする」よりも多くの回答があった。
現在、軽度者【要介護度1、2】の方においては生活援助中心型サービスが提供出来ないようになることを想像させるような報道等がなされている。しかし、これまで生活援助は、軽度要介護者【要介護度1、2】(以下軽度要介護者)の方々の在宅生活継続をささえており、すべてが給付されなくなると軽度者の生活が支えられなくなると心配されている。 軽度要介護者の在宅生活の継続のためには、最低限どのような生活援助中心型サービスが必要であるかを調査、検討します。介護職員、ケアマネジャーにインターネット調査を行ったところ下記の結果が得られた。
・軽度要介護者の在宅生活継続のためには、独居高齢者・退院直後に短時間の生活援助の必要との回答が得られた。
・軽度要介護者が生活援助中心型サービスが必要な期間は、2週間から1ヶ月間との回答が得られた。
・軽度要介護者適用期間中の生活援助中心型サービスは、1日複数回の提供が必要である。
・軽度要介護者への生活援助では買い物・調理の役割・効果が期待されている。
・軽度要介護者身体介護に引き続いて行う生活援助も一定条件で利用できるようにすべき。
・訪問介護の生活援助中心型のサービスでは訪問介護員によって、掃除・洗濯・調理・買い物等を通じて専門性に基づく観察・判断・情報収集・安全確認がなされる。訪問介護員は単に掃除・洗濯・調理等を行っているだけの役割ではない。
・訪問介護員自らが判断をおこなって、利用者本人の自己選択の支援・助言・働きかけを行っている。これらは、利用者個別の状況の把握と知識に基づいておこなわれている。
・訪問介護員が専門性に基づく観察・判断・情報収集により得た情報は、サービス提供責任者・介護支援専門員・看護師・医師の連携に欠かすことのできない情報源である。
・訪問介護員のおこなう生活援助は、専門性に基づいて行われており、軽度者の自立を支援する機能をはたしているのではないか。
・生活援助には掃除・洗濯・調理の機能と同時に、軽度者の自立を支援する専門的機能に区分される。生活援助に内包される専門的な機能については、一定の条件の要介護高齢者の生活維持に不可欠な要素があると考えられる。
・調理・洗濯・掃除作業そのものに着目し、要介護高齢者の生活維持に不可欠な要素を切り落とすことは難しいのではないか。
・今回の調査より、一定の条件の要介護高齢者においては、従来生活援助の区分とされてはいたが生活継続に不可欠な要素として、介護給付に位置づけて行われると同時に、医師・看護師・ケアマネジャーと連携して地域包括ケアの成果につなげる役割の存在が示唆されたと考える。
・今後、訪問介護員が行う介護過程を詳細に分解することで、生活援助の専門性を明らかにする必要があるのではないか。(参考資料参照)
1,調査概要
2,調査項目
Ⅰ 、有効回答要介護度内訳
Ⅱ 、世帯区分
Ⅲ、在宅生活中断または継続不可能となった理由
Ⅳ 、入院・入所等に至った要因(複数回答可)
Ⅴ 、在宅生活継続が困難となった理由(複数回答可)
Ⅵ 、どうすれば在宅生活が継続できたか(複数回答可)
【在宅生活継続が困難となった理由】からの考察
3,全体考察
4,まとめ
2016.2.15リリース
調査時期 :平成28年1月
調査対象 :弊社訪問介護を利用する高齢者のうち、2015年11月度、12月度において
入院などにより在宅生活が中断もしくは継続不可能となったご利用者
回答者 :弊社訪問介護所属のサービス提供責任者
有効回答数:373件
在宅生活継続中断または継続不可能となる最大の要因は「入院」である。
本アンケートの結果、在宅生活中断または、
継続不可能となった理由の66.0%を「入院」が占める結果となった。
入院となる前の在宅医療の位置づけ、
退院後の在宅生活継続のためのケアマネジメントが重要となってくる。
在宅生活継続中断・断念の最大の要因である「入院」に至る理由は「要介護者の状態変化」である。
要介護者の病状悪化28.2%、
急病15.5%、
怪我14.2%、
心身機能の低下6.8%、
認知症の悪化6.6%
といった要介護者の状態変化による理由が合計71.3%
主介護者の仕事と介護の両立不能8.3%、
介護者の病気による介護不能3.8%、といった主介護者の事情による理由は12.1%。
結果、在宅継続困難の要因は、要介護者の状態変化によって引き起こされている割合が高いことが判明した。
在宅生活継続・退院(在宅復帰)をするためには、
在宅医療の導入と24時間対応の訪問介護サービスが必要である。
在宅医療の導入(①)と24時間対応のサービスの導入(②、③、④)を合わせて58.5%と半数を超えた比率となり、
これはケアマネジメントの充実があれば在宅生活継続ができたことを示していると考える。
在宅生活が中断もしくは継続不可能となったご利用者が在宅生活を長く継続させるには、在宅介護サービスの位置づけに併せ、
在宅医療によるご自宅での疾患管理の導入が在宅生活継続にとって効果的と考える。
今回のアンケート調査を受け、在宅生活継続の中断または継続不可能となった要介護者の中には、
必要な介護サービスの利用ができれば、在宅生活継続の可能性があったことを示唆する結果となった。
在宅生活継続をするか否かをご本人・家族等が判断を迫られるとき、必ず「きっかけ」が存在する。
アンケートの結果によるとその「きっかけ」の71.3%が介護者の状態変化であった。
そして、「きっかけ」が生じた後、66.0%の方々が「入院」という選択肢を選んでいることも明らかになった。
■在宅生活継続中断または継続不可能となる最大の要因は「入院」
■在宅生活継続中断・断念の最大の要因である「入院」に至る理由は「要介護者の状態変化」
■在宅生活継続・退院(在宅復帰)をするためには、在宅医療の導入と24時間対応の訪問介護サービスが必要
上記を受け、在宅生活継続を困難とさせないためには、早期からの在宅医療の導入および24時間対応型のサービスの導入が重要と考える。
また、入院による在宅生活継続中断が多いことを受け、入院後の退院支援、在宅復帰の仕組みの構築に力を入れるべきであると言える。
退院支援、在宅復帰の強化のためには下記のケアマネジメントの強化が必要であると考える。
1、退院支援・在宅復帰の為に、入院後すぐに退院後に生活を見据えたケアマネジメントを開始
2、在宅生活継続の為に、在宅医療の導入および24時間対応型のサービスの導入し、看護師と介護員と連携した療養支援、継続確保
3、在宅によるリハビリによる要介護度軽度化、および非該当化の為に、在宅による機能訓練維持向上のサービスの位置づけ、および緊急時対応のための見守りサービスの導入
4、医師、看護師、介護員が連携して在宅による良い看取りを行う
5、生活支援と在宅介護と疾患管理の統合により、軽度、中重度を問わずご高齢者一人ひとりの状況の応じて、在宅生活継続阻害要因に対抗・克服するためのサービスを統合して提供することで地域居住という結果の保証を実現する
また、これらの機能を訪問介護、通所介護、居宅介護支援(小規模多機能、看護小規模多機能を含む)に付加することを追求すべきであり、事業者が努力して要介護のままに居させないような仕組みを構築していく必要があると考える。