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「在宅生活継続の障害に関する社内調査」

昨今、不幸にも起こってしまった様々な介護にまつわる事件、事故、
ならびに介護離職が問題となっている。

“なぜ在宅生活継続ができなくなったのか”
“在宅生活継続の障害とは何か”

全国に介護サービス事業所及びサービス付き高齢者向け住宅などを展開する株式会社やさしい手(本社:東京都目黒区)は
社内アンケートによる約400件の結果から分析を実施した。

「在宅生活継続のために重要となってくるものは何か」
 主介護者である家族が、要介護者の在宅生活継続困難の判断を下したのか
 要介護者の状態悪化によって在宅生活継続が中断されたのか

入院入所を防ぐためにはどうすべきか、について考察した。

1,調査概要
2,調査項目
 Ⅰ 、有効回答要介護度内訳
 Ⅱ 、世帯区分
 Ⅲ、在宅生活中断または継続不可能となった理由
 Ⅳ 、入院・入所等に至った要因(複数回答可)
 Ⅴ 、在宅生活継続が困難となった理由(複数回答可)
 Ⅵ 、どうすれば在宅生活が継続できたか(複数回答可)
   【在宅生活継続が困難となった理由】からの考察
3,全体考察
4,まとめ

調 査 時 期:平成28年1月
調 査 対 象:弊社訪問介護を利用する高齢者のうち、2015年11月度、12月度において
入院などにより在宅生活が中断もしくは継続不可能となったご利用者
回 答 者:弊社訪問介護所属のサービス提供責任者
有効回答数:373件
在宅生活継続中断または継続不可能となる最大の要因は「入院」である。
本アンケートの結果、在宅生活中断または、継続不可能となった理由の66.0%を「入院」が占める結果となった。
入院となる前の在宅医療の位置づけ、退院後の在宅生活継続のためのケアマネジメントが重要となってくる。
在宅生活継続中断・断念の最大の要因である「入院」に至る理由は「要介護者の状態変化」である。
要介護者の病状悪化28.2%、
急病15.5%、
怪我14.2%、
心身機能の低下6.8%、
認知症の悪化6.6%
といった要介護者の状態変化による理由が合計71.3%
主介護者の仕事と介護の両立不能8.3%、
介護者の病気による介護不能3.8%、といった主介護者の事情による理由は12.1%。
結果、在宅継続困難の要因は、要介護者の状態変化によって引き起こされている割合が高いことが判明した。
在宅生活継続が困難となった理由において、転倒骨折による入院(12.4%)が最も多くなっており、各回答項目より、ケアマネジメントの充実により在宅生活継続できることが考察できる。
在宅生活継続・退院(在宅復帰)をするためには、在宅医療の導入と24時間対応の訪問介護サービスが必要である。
在宅医療の導入(①)と24時間対応のサービスの導入(②、③、④)を合わせて58.5%と半数を超えた比率となり、これはケアマネジメントの充実があれば在宅生活継続ができたことを示していると考える。

在宅生活が中断もしくは継続不可能となったご利用者が在宅生活を長く継続させるには、在宅介護サービスの位置づけに併せ、在宅医療によるご自宅での疾患管理の導入が在宅生活継続にとって効果的と考える。
在宅生活継続が困難となった理由を調査し、各回答項目に対して有効と考えられるケアマネジメントを考察した結果も、訪問介護サービスの増加と在宅医療の導入が合わせて41.7%となっている。
今回のアンケート調査を受け、在宅生活継続の中断または継続不可能となった要介護者の中には、必要な介護サービスの利用ができれば、在宅生活継続の可能性があったことを示唆する結果となった。
在宅生活継続をするか否かをご本人・家族等が判断を迫られるとき、必ず「きっかけ」が存在する。
アンケートの結果によるとその「きっかけ」の71.3%が介護者の状態変化であった。
そして、「きっかけ」が生じた後、66.0%の方々が「入院」という選択肢を選んでいることも明らかになった。
■在宅生活継続中断または継続不可能となる最大の要因は「入院」
■在宅生活継続中断・断念の最大の要因である「入院」に至る理由は「要介護者の状態変化」
■在宅生活継続・退院(在宅復帰)をするためには、在宅医療の導入と24時間対応の訪問介護サービスが必要

上記を受け、在宅生活継続を困難とさせないためには、早期からの在宅医療の導入および24時間対応型のサービスの導入が重要と考える。

また、入院による在宅生活継続中断が多いことを受け、入院後の退院支援、在宅復帰の仕組みの構築に力を入れるべきであると言える。
退院支援、在宅復帰の強化のためには下記のケアマネジメントの強化が必要であると考える。

1、退院支援・在宅復帰の為に、入院後すぐに退院後に生活を見据えたケアマネジメントを開始
2、在宅生活継続の為に、在宅医療の導入および24時間対応型のサービスの導入し、看護師と介護員と連携した療養支援、継続確保
3、在宅によるリハビリによる要介護度軽度化、および非該当化の為に、在宅による機能訓練維持向上のサービスの位置づけ、および緊急時対応のための見守りサービスの導入
4、医師、看護師、介護員が連携して在宅による良い看取りを行う
5、生活支援と在宅介護と疾患管理の統合により、軽度、中重度を問わずご高齢者一人ひとりの状況の応じて、在宅生活継続阻害要因に対抗・克服するためのサービスを統合して提供することで地域居住という結果の保証を実現する
また、これらの機能を訪問介護、通所介護、居宅介護支援(小規模多機能、看護小規模多機能を含む)に付加することを追求すべきであり、事業者が努力して要介護のままに居させないような仕組みを構築していく必要があると考える。