在宅介護 やさしい手

リハビリの妙を趣味の芸術で実感すること

[ 2021.10.06 ]

まだまだ暑い日も続きますが、秋・・・・と言えば読書と芸術の秋でもあります。
私は10代の頃からロックliveと歌舞伎が好きで、TVもロックと時代劇と少年ジャンプのアニメに浸るという、かなりカオスな鑑賞生活が今も大切な潤いです。

さて、そんな身体芸術の極にある歌舞伎役者のひとり、歌右衛門名跡を継ぐべく成駒屋の福助さん‥‥多忙を極めた数年前に脳梗塞で倒れ、長期休業、言語障害を伴う半身麻痺が残り、美しい女形での復帰はほぼ絶望視されておりました。
が、ご本人は決して諦めず、数年間過酷なリハビリを続け、お弟子に脇を支えられ一言の台詞で座したままの痛ましい様子ながら復帰を果たし‥‥コロナで再び出演を絶たれておりましたが、今年先月、ついに独歩で復帰!
言語障害と半身麻痺は残りますが、台詞も増えて一語一語ゆっくりと、4階まである客席中に通る声(歌舞伎は絶対マイクを使いません)で発語し、お弟子に手を取られることなく自力で床几から立ち上がり、足を引きつつ一人で歩いて舞台袖へ去る姿に、連日、拍手の嵐。
無論、私も涙腺崩壊で、喜劇なのにしばらく涙ボロボロ(笑)
ご本人のSNSも、最近、打つ片手指の回復が良好なのか少しずつ再開。
理学療法士の先生とツーショットや、リハビリの光景も、披露してくれております。

実は、歌舞伎役者の方がたには、こんなふうに、年齢を経てから大病や大怪我をし、しかし過酷な治療やリハビリで乗り越えて舞台復帰を果たす方々が少なくありません。
ご年配方々には馴染みの深い、勘九郎坊や =中村勘三郎さんもそうでしたね。
彼らを拝見していると、人間、いくつになっても、心身は「生きよう」とする力があるのだなあと。ヒトの身体と、それを突き動かす精神の、心技体バランスの強さに頑張る人々に敬意が絶えません。私もこの仕事で、ヒトのお役に立ちたいのはそういうところ……

と、いうわけで、とまれ、
♪とぉ~ざあい。本日は、これ切り~  チョンチョン♪

写真は歌舞伎座の外、東銀座駅直結エスカレーター正面におわす、芸能鎮守のお狐様が守る歌舞伎座明神です。私は劇場へ行く度に“皆さん”と自分とを、ここに祈っております。
歌舞伎座の感染対策は実に素晴らしく万全で安心です。毎月大きな赤字になる対策公演で採算よりもヒトが安心して楽しめる世界の維持を優先した歌舞伎座にも感謝が絶えません。